始まりは18歳のとき。
まだ何者でもなかった自分が、ある老舗バーの扉を開いたある夜。
音楽はない。 オールスタンディングで、決して派手ではない。
油引きの床の匂いとウヰスキーの香り、グラスの音、静かに語らう人々・・・
ダークスーツを着た年配の男性が一杯の酒を丁寧に味わう姿。言葉少なに、でも確かな信頼で交わされるやり取り。
そこには大人だけが知っている時間が流れていました。
そんな映画のワンシーンのような光景に、完全に一目ぼれ。
「もうこれしかない」。
そんな自分の思いに対し周りの同意を得ることができなかったけれど、それでも、あの夜の世界に魅せられた瞬間に灯った自分の中の火は、どうしても消すことができませんでした。
飛び込むことへの怖さ以上に、この世界の持つ美しさと奥深さに心を奪われ、私はバーテンダーとして“夜の世界”に一歩踏み出しました。
そうして、バーキースの今夜があります。
バーテンダーは、ただ酒を作るだけではなく、人の時間に寄り添い、人生の節目に立ち会い、言葉にできない感情をそっと受け止める。
あの日、18歳の自分があのバーで感じた空気を、今も変わらず追いかけ続けています。
ーようこそ、バーキースへー